「あげくの果てのカノン」から学ぶ、不倫の終着点。
この街では、
ずっと、雨が降っている。
止められない想いを、
描写するかのように。
最近、
「不倫」を扱った作品が増えてきている。
増えてきているというより、
許容されるようになってきた、
というべきだろうか。
どこからが、
どんな定義を「不倫」とするかは、
ここでは、語る気はない。
主人公は、23歳フリーター。
高校時代から、
8年想い続ける、
先輩が現れそうな店で、
バイトをしている。
漫画の中で、
主人公は何度も、友人や、
初めて会った人に、
先輩への想いの現し方が、
ストーカーみたいだ、と呼ばれる。
けれど彼女は言う。
「先輩以外の人に、
私を変えられたくない」。
先輩が、
既婚者だとわかっていてもなお、
彼女は、先輩を見つめ続ける。
そしてある日、事件が起こる。
何年も想い続けた先輩との、
密やかな日々。
夢のような逃避行。
人生で初めての恋愛は、
止まり方もわからず。
途中から物語は、
先輩の「妻」からの視点となる。
眉目秀麗な彼に見合うように、
必死に自分を磨き、
夫の未来を救うために、
多忙に働いていた彼女に、
不意に訪れる転機。
自分の夫が、
何も持たないフリーターである主人公と、
恋をしている、こと。
かつては、
自分と夫との間にも、
確かにあったはずの、感情。
今も自分は、
在ると信じていた、
これからも続くと思っていた、感情。
彼のいない世界など、
壊れてしまえばいい。
そして彼女によって引き起こされる、
国家を揺るがす事態。
描かれるのは、
主人公、
「先輩」、
先輩の妻である、「彼女」。
三者三様の想い。
変わりたかった、
変わっていくのが怖かった、
変わってしまうのを、止めたかった、
だけど、
変わっていくことを、
止めることができなかった。
それぞれの想いの、行きつく先は。
1巻から5巻まで、完結済み。
この話を、5巻で完結させた才能を、
是非。